音楽における同質効果について


音楽を聴く上で曲の内容や雰囲気に共感できるかどうかというのは、なかなかに重要な要素になっている事は音楽好きの方なら理解できることだと思います。簡単に説明すると、「失恋した時に失恋ソングを聴くと妙に落ち着く。」「悲しい時には悲しい曲を聴くと癒される。」というものです。

これを「同質効果」「同質の原理」と言います。

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落ち込んでいる時に明るい曲を聴いて気分を変えようとして逆にストレスになり全く気分が乗らないまま、なんて事を経験した方は多いと思います。これは同質効果が働いていない状態ですので当然です。周りに落ち込んだ友人がいた時に明るい曲を進めるのは絶対にやめてください。

その逆に、気分が盛り上がってる時にしんみりした曲が流れたら「酒が不味くなる!景気のいい音楽を流せ!」と言いたくもなります。気分を害された不快感でストレスを感じテンションも下がってしまいますね。

これらを回避するには自分の感情に合った音楽を聴くことです。
それが同質効果の面白さでもあります。

こういった性質上、音楽療法をやっていなくても作曲家や作詞家は知っておくべき効果の一つです。

さて、ここからが本題です。

私の個人的な考えに基づき同質効果が働きやすい楽曲の例を挙げていきます。決して鵜呑みにせず参考程度にしてください。

・メジャーアーティストに多い恋愛系の曲
単純ではありますが、恋愛感情を抱いたことのある人の絶対数はとてつもなく多いです。大衆向けのテーマと言っても過言ではありません。
より多くの人に共感してもらうにはわかりやすい言葉を使うなどの工夫が必要な場合もあります。

・自分では思っていても言えない事を代弁してくれる曲
不満がたまれば怒鳴り散らしたくなったり、罵詈雑言を吐いたりしたくなりますがほとんどの方はこれをできません。
そこでブルータルデスメタルです。歌詞を無視したとしても、曲調が感情と同質であればそれは魅力的なものに聞こえる事でしょう。

その他にも、ジャジーな雰囲気の音楽なら背伸びしたかったり大人の雰囲気に浸ったり、ラップの入ったワルそうな音楽なら強さやアウトサイダー的要素を感じたりとジャンルによって様々です。
また、同じジャンルだったとしてもBPMによって感じ方が変わります。

しかしながら作曲家や作詞家も人間です。製作の段階で自分自身がストレスを感じてしまっては元も子もありません。まずは自分が共感できる内容を選ぶ事が大事です。

例外として意識的に大衆向け音楽を作りたいのであれば、同質効果を利用して絶対数の多いターゲット層に刺さりやすいテーマとジャンルを選ぶのも一つの手段である事は覚えておくべきです。

最後にもう一つ。
好みのジャンルに関しては思春期に培ったサウンドに一生引っ張られるものですし、個人の性格によってどんな内容が好きかも変わってきます。現実味のないファンタジックな音楽やテクニック重視のインストが好きな人だっています。

つまり「万人に受ける音楽と歌詞は存在しない」ということです。

繰り返しにはなりますが同質効果を利用したい場合は、ただ「共感してくれ!」と作るのではなく、大衆やニッチ層に向けて明確にターゲットを絞る必要があります。


とは言うものの「何を作ったかより誰が作ったか」が重視される世の中ですので、「人から好かれる人間になる」方が手っ取り早く共感を得られるかもしれませんね。

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